鶴屋 寿の歴史

桜餅発祥の地「京都」。

桜餅は、桜の名所として知られた江戸・向島(むこうじま)の長命寺が発祥の地として一般的に広く知られています。享保2年(1717)、桜並木の落葉掃除に追われた同寺の門番・山本新六が考案しました。はじめは桜葉のしょうゆ漬けを思い付き、売り出したもののすぐに飽きられてしまいます。
その後、薄く焼いた小麦粉の皮を二つに折ってこし餡を挟み、塩漬けした桜葉で包んだといいます。これがたちまち花見見物に訪れた人々に知れ渡り、江戸名物の一つとなりました。
しかし博物学者・南方熊楠(みなかたくまぐす)によれば、桜餅はすでに天和3年(1683)、京都に存在するようです。大田南畝(おおたなんぽ)の随筆『一話一言』(一)に登場する京御菓子司「桔梗屋」の河内大掾が菓子目録「御菓子品々」の中に“さくら糖”、菓子目録「御茶菓子丸蒸物類」の中に“さくらもち”を載せたといいます。「桔梗屋」とは京の都と伏見をつなぐ本町街道沿いに位置する菓子屋で、当時この街道には伏見稲荷の参拝者を目当てとした数多くの茶店や菓子屋が軒を並べていました。明暦3年(1657)に起こった振袖火事のころから京菓子司の江戸進出が始まり、桔梗屋も桜餅とともにそれに追随したとおもわれます。

もし南方の言う桜餅が江戸で始まったものと一致するならば、桜餅の発祥は「京都」ということになるでしょう。

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