嵐山の麓・滝口寺の付近には、大堰川で最も底深い「千鳥ヶ淵」と呼ばれる場所があります。その深さは5メートルとも7メートルとも言われ、保津川の急流が大きな堰によって流れを失い、瀞(とろ)※となっているのです。
この淵は、底深く美しい緑の水をたたえ、龍がひそんでいるかと思われるほどの凄みをもっています。昔、建礼門院の侍女・横笛(よこぶえ)が滝口入道(たきぐちにゅうどう)を慕って嵯峨まで尋ねたが、入道はすでに出家の後。面会しなかった彼を恨んで、横笛が身を投げた所がこの淵と伝えられています。
※瀞(とろ)…河川の流れの中で、水が深くて流れの緩やかな所。
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〜謠曲「横笛」〜
井堰にかかる波までも、涙の波の大井川、
暮るれば凄き千鳥ヶ淵、なくなく死骸を引き上げて(下略)
淵の名の千鳥も鳴きて大井川かは風寒く夜は更けにけり 英忠
花の雪千鳥が淵に亂れけり 晩翠
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なお昭和35年、千鳥ヶ淵の上の嵐山が大雨による土砂崩れを起こし、
川沿いの樹木も流されてしまいました。その後補修されましたが、
樹木の生い茂った以前の幽邃な景観が失われたのは残念です。
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